地中海世界の成りたち 3
この世界のなかでエジプトは特異な立場を占めていました。
もともとサハラとひと続きの砂漠地帯でありながら、ナイル川の洪水を巧みに受けとめて営まれる農耕は、生産力がとても高かったのです。
地中海の周辺では稀に見る穀物の大産地であったからです。
エジプト産の穀物は、地中海のほとりや島々にある多くの都市に供給されました。
そして、それぞれの生活の支えになっていたのです。
地中海世界を育む活力のひとつは、まさにエジプトの穀物でした。
そのうえ、わりあいに自足性に富むエジプトも、自ら進んで殻を破らざるをえなかったのです。