地中海世界の成りたち 5
限られた水を用いて営まれるオアシスの農耕生活は、耕地をやたらに広げることはできません。
耕地と人口のバランスは早晩くずれる運命にあります。
また個々のオアシス内部の生産物も偏りぎみで、生活必需品の多くを他に求めねばならなかったのです。
そこで早くから交易が起こります。
やがてそれは大規模な隊商貿易にまで発展しました。
「肥沃な三日月地帯」の諸オアシスは、互いに隊商路で珠数つなぎにされて、ペルシア湾と地中海との間の架け橋と化します。
フェニキアはレバノン山脈と地中海とに挾まれた細長い沿海地にすぎません。
しかし、このオアシス橋の橋頭墜であり、同時に、メソポタミア、エジプト、クレタの三大文化圏の交点にあたっていました。