自然の価値 4
保全生物学・保全生態学は、そのようにヒトにとってきわめて多様な価値をもつ、生物多様性を守ることを明確な目標とする研究分野です。
さて、ここで強調しておきたいことは、保全生物学の発展に力を尽くした研究者たちは、伝統的な自然資源管理にかかわる応用生態学の研究者ではないということです。
社会生物学の創始者として日本でもよく名が知られているE・O・ウィルソンをはじめ、その大部分が、進化学、生態学、遺伝学、動物学、植物学など、野生生物を研究対象とする基礎生物学出身の研究者たちです。
彼らは、生物を利用するための研究ではなく、知的関心に基づいて動植物の生態や進化に関する基礎研究を行っているうちに、現在の生物的自然が置かれている厳しい現状に直面し、卿アカデミックな社会から外へ向かって行動を始めました。
彼らを行動へと駆り立てたのは、研究対象とする種や、それより上の生物学的階層の実体と学問的に真剣に向き合うなかで培われた
「ヒト以外の種もヒトと同じように生物進化の産物であり、それぞれが固有の価値をもっている」
・・・という確信です。
この第三の倫理感に基づく意識は、専門的な研究者に限らず、ナチュラリストとして自然に向き合う者にも広く共有される意識です。